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Vol.35 乳がん検診

 最近報道で芸能人の乳がんに関する話題が取り上げられております。毎年検診を受けていたにも関わらず、発見された時腫瘍の大きさは2cmを超え、脇の下のリンパ節にも転移をしており、乳房をすべて摘出する手術と抗がん剤の治療を行っているとのことでした。

 この報道で乳がんに対し多くの方が不安を抱いたのではないかと思います。そして皆様の中には乳がん検診を受けても「ムダ」なのではないか、と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。検診と検診の狭間で発見される乳がんを「中間期乳がん」といい、数か月のうちに急速に腫瘍が増大するようなこともしばしば経験致します。しかしながらこのような乳がんのタイプは決して多くはありません。早期発見早期治療はとても重要で、乳がん検診を受けて頂くことを強くお勧めしたいと思います。

 さて乳がん検診の頻度ですが、40歳以上の方は少なくとも2年に一度の検診をお勧めします。加えて1か月に一度は自己触診をすることを心がけて下さい。いつも違うような「しこり」を感じたり、普段と違う症状を認めた場合は躊躇することなく乳腺専門施設を受診して頂きたいと思います。

 「親族が乳がんにかかった」ということはとても重要な情報です。数年前にアンジェリーナジョリーさんが乳がんや卵巣がんに罹患しやすい遺伝子変異を有する「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」であることがわかり、両側乳房切除術と卵巣卵管切除術を施行されました。この遺伝子変異を有する乳がんは若年発症で悪性度が高い傾向があります。沖縄県内で「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」の検査ができる施設は那覇西クリニックとちばなクリニックがございますのでご相談頂けたらと思います。

(琉球新報週刊レキオ 2016年1月掲載)

那覇西クリニック乳腺外科
玉城 研太朗

最終更新日:2016.01.25