エッセイ
Vol.11 検診の季節
「先生、血便がでたので検査してください」「胃が痛むのですが」検査をした。『うーーむ!』『まいった』二人とも先日手術をさせて頂いた。大変反省をしている。年間多くの乳がんの手術と検査をさせて頂いているのだが、他のがん検診を怠っていたのである。乳がんと子宮がんは何となく関連があるので皆の関心も高いが、胃の検査、ましてや腸の検査にはどうも抵抗があるようで、検査を受ける人は少ない。
暖かくなってきた。沖縄も検診の季節到来である。日本人に多いがんが検診の対象になっている。まず子宮がんと乳がん。胃がんと大腸がん、そして沖縄で死亡率のもっとも高い肺がんである。
私たちが90%以上なおせるがんは5種類ある。もっとも危険度が少ないのが甲状腺がんである。その次は大腸がんかな?大腸のポリープのうちにカメラで切ってしまえばよいのである。簡単なのだ。
子宮がんはどうする?。毎年婦人科で検診をすればよいのである。そうすれば早期に発見できる。
乳がんは今の触れてみる検診では少し手後れになることもある。手に触れる"しこり"は2センチ前後になっていることが多い。できれば超音波やマンモグラフィというレントゲンを使った検査をした方がよい。そうすれば手に触れることのない、0期のがんが見つかるのである。
胃がんはバリウムの検査か胃カメラがよい。胃がんも早期に発見するとカメラだけでなおせる場合もある。だがまだ手術になる率の方が高い。それでも早期に摘出できると90%以上は治るのである。わたしも2年に1回胃カメラと大腸のカメラの検査を受けている。ときどき腸にポリープができるのだが、わずか3ミリ程なのでそのつどとってもらっている。
検診を受ける人には条件が必要である。胃の痛い人、血便のある人、おりものが多い人、乳房に"しこり"を触れる人は検診を受ける資格はない。「すぐに病院にいってください!!」
検診を受ける人は無症状の人のみである。『どこも痛くないが、家族のために検診でも受けてみるか』というのが立派な態度である。わたしもがんにかかるかも知れないといつも思っている。できれば大腸がんにして欲しいなと願っている。どうして?
『胃が小さくなると、美味しいのが食べにくくなるだろうな?出口の大腸は長いから少しばかり切らせてもよい』などと食い意地のはった考えをもっているのだ。
最後に肺がんは?
あまりなおせないのである。早期発見が難しい。検査にCTを使うとよいともいわれているが、"タバコを止めることが第1である!!"
検診や人間ドックを受けよう。先日、わが家の女性とともにドックを受けた。コレステロールに恨みをもっているが、骨密度が20代といわれ大変、大変よろこんでいる。ナットーのおかげかな。やはり骨太の女性であったか。
(2003年9月22日 掲載)
那覇西クリニック理事長
玉城 信光
最終更新日:2003.10.21