エッセイ
Vol.09 平均寿命
30年まえ、身長161センチ、体重46キロ、ミニスカートがよく似合い、笑顔の可愛い女性であった。結婚当初、男も165センチ、64キロであった。ストレス社会を乗り切って、結婚30年を迎える頃、男の体重は80キロになってしまった。友人が悪いのであろうか、沖縄の遅き夜が悪いのであろうか。
身長161センチの女性も少し?少し?体重が増加した。“おとめ”と称する彼女の同級生も少し、少し、少し写真よりはみだすようになった。
おりもおり、沖縄の男性の平均寿命が全国で26位になってしまった。全国平均は77.71才、沖縄は77.64才。平成7年の沖縄は77.22才であったので少しは伸びたが、他の県がもっと伸びてきたのである。女性の平均寿命は沖縄が一番で86.01才とのことである。しかし近い将来女性の1番も怪しいとの話がある。
長寿県があやしくなってきた。沖縄県では21世紀にむけて、元気な社会生活をするための道しるべとして「健康おきなわ2010」をつくった。沖縄の寿命を短くしている原因が述べられている。
おどろいたことに沖縄は自殺者が多い。全国で2番目だという。交通事故の死亡者よりはるかに多い。特に働き盛りの20代から60代の男に多く見られるようだ。はじめて知ったことである。それにくらべ女は自殺をしないという(全国1低い)。おしゃべりは最大のストレス解消法である。自殺がへると平均寿命が0.77年のびるという。沖縄の男よ無理して頑張ることはないよ。めそめそ泣いてもよいではないか。わたしの奥さんも含めて、世の女性に応援団をおねがいしたいところである。やさしくしてね!
沖縄では肺がんで死ぬ人も多い。男の肺がんは全国1で女は全国2番である。がん死亡の中でも肺がんの死亡がもっとも高くなっている。肺がんの原因の一番はタバコである。最近大人の男は喫煙率が下がってきたが、若者と女性の喫煙が目につくようになった。これもすべて生活の習慣である。アメリカでは禁煙運動がおこって10年肺がんの発生が減ってきたという。
生活習慣の中にはアルコールと食べ過ぎがある。私はこれにあたる。患者さんに「肝臓に脂肪がついていますよ」「コレステロールが高いですよ」“うちあたい”しながら話す言葉に説得力はない。食べ過ぎると糖尿病にもなりやすいし、体重がふえると血圧も上がってくる。どちらも治療の最初は食べ過ぎをやめ、体重をへらすこと、運動をすることである。患者さんにいう前に医者みずから身を正さなければいけないと反省している。
(2003年5月7日 掲載)
那覇西クリニック理事長
玉城 信光
最終更新日:2003.05.07